たんぱく質が左右するあなたの未来
筋肉量を維持する・増やす・痩せる! or 太る・老ける・弱る!
ダイエットやボディメイク、そして健康を語るうえで避けて通れないのが、たんぱく質です。このたんぱく質の摂取状況で、あなたの未来が変わります。「筋肉量を維持する、または増やして、痩せる」ことが出来るか「太って、順調に老けて、弱る」のか…ですね。こうして、たんぱく質の未来結果を文字にすると我ながら怖い…(笑)
しっかりたんぱく質を摂れるのに越したことはありません。今からでも遅くありませんので、たんぱく質について知識をプラスしつつ、食事にもプラスしてください。今回の記事は2回連載で「ダイエットや健康の維持に必要な筋肉のためになる、最強のたんぱく質の摂り方」について解説していきます。第1回目の本記事では、そもそも「たんぱく質とは何か?」ということから食材選びのポイントまで、最新の科学的根拠に基づいて丁寧に解説していきます。
たんぱく質とは?身体を支える重要な栄養素
たんぱく質は、アミノ酸の集合体の最小単位です。アミノ酸は20種類の組み合わせからなり、この20種類すべてがバランスよく必要です。人間の身体の30~40%はたんぱく質でできていて、なんと10万種類以上のたんぱく質が体内で働いています。
- アミノ酸20種類のうち9種類は体内で作れない=必須アミノ酸
- 動物性(肉・魚・卵・乳製品)と植物性(大豆製品・野菜など)の両方から摂取
- 動物性と植物性を1対1の割合で摂るのが基本
- 体重の30〜40%をたんぱく質が占める
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、成人男性で1日65g、成人女性で1日50gのたんぱく質摂取が推奨されています。
たんぱく質の体内での働き
消化・吸収・再合成のプロセス
たんぱく質を食べる
→ アミノ酸に分解
→ 血液で全身に運搬
→ 必要な場所でたんぱく質に再合成
だから、摂るだけじゃなく消化吸収のしやすさも超重要です!
体内でのたんぱく質の役割
- 肌・髪の構成要素:美容と健康の基盤
- 筋肉や内臓をつくる:筋肉は80%がたんぱく質で構成
- ホルモンや酵素の材料:体の機能調節に不可欠
- エネルギー源:必要に応じてエネルギーとしても利用
- 免疫機能:抗体の材料として感染症から体を守る
不足すると:筋肉量減少、免疫力低下、肌荒れ、疲労感など様々な不調が現れます。
質の良いたんぱく質を見極める最新基準
良質なたんぱく質を選ぶ際は、アミノ酸の量だけでなく消化吸収効率に着目することが重要です。
評価基準の進化
- 1970年代〜:アミノ酸スコアで評価
- 1990年代〜:PDCAASで評価
- 2013年〜:DIAASで評価(最新基準)
FAO(国連食糧農業機関)により、2023年もDIAASはたんぱく質評価のグローバル基準として推奨されています【FAO. 2023年報告】
アミノ酸スコアとは?
9種の必須アミノ酸がすべて100であれば一番良い状態です。アミノ酸スコアが100でない場合は、一番低い数値がその食品のアミノ酸スコアとなります。
PDCAASとは?
アミノ酸スコアに消化吸収・体内利用効率を加味した評価指数。アミノ酸スコアは100が上限なので、消化吸収・体内利用効率を加味して100を超えた値は切り捨てる計算方法です。
DIAAS(消化性必須アミノ酸スコア)とは?
FAO(国際連合食糧農業機関)が2013年に提唱した最新の評価基準で、食品に含まれているアミノ酸の量やバランスだけでなく、消化のしやすさや体内での利用効率を総合的に判断します。アミノ酸スコアの100を超えた値でも切り捨てずに評価する最新の基準値。数値が高いほど効率よく摂取できることを意味し、より正確に栄養価を評価できます。
動物性 vs 植物性たんぱく質の特徴
動物性たんぱく質(肉・魚・貝・卵・乳製品)
長所:
- 必須アミノ酸がバランスよく豊富
- ビタミンB群が豊富
- 体内への吸収率が95%以上
短所:
- 脂質を多く含む食材もあり、カロリーオーバーのリスク
- 過剰摂取は体臭の原因となることがある
植物性たんぱく質(大豆製品・きのこ・ブロッコリー・穀類など)
長所:
- 脂質が少ない
- 脂肪燃焼効果が動物性たんぱく質より高い
- 食物繊維が豊富
短所:
- 必須アミノ酸が不均一な場合がある
- 体内への吸収率は80〜85%
選ぶならコレ!高たんぱく・低脂質・優秀食材ベスト
主な食品のアミノ酸スコア表
| スコア範囲 | 動物性食品 | 植物性食品 |
|---|---|---|
| 100 | 卵、牛乳、豚肉、鶏肉、マグロ | 大豆、そば |
| 90-99 | いわし、さば、かつお、あじ、鮭 | えんどう豆、いんげん豆 |
| 80-89 | 牛ひき肉、羊肉 | 小麦粉、オートミール、キヌア |
| 70-79 | 魚介類(貝類) | じゃがいも、とうもろこし |
| 69以下 | – | 白米、パン(小麦粉) |
たんぱく質の栄養価比較(3つの評価基準)
| 食品 | アミノ酸スコア | PDCAAS | DIAAS |
|---|---|---|---|
| ミルクプロテイン | 100 | 1.00 | 1.31 |
| カゼインプロテイン | 100 | 1.00 | 1.18 |
| 卵 | 100 | 1.00 | 1.13 |
| ホエイプロテイン | 100 | 1.00 | 1.09 |
| ソイプロテイン | 100 | 1.00 | 0.90 |
| 小麦 | 42 | 0.42 | 0.40 |
DIAASで1.00以上のものは、より体内で利用しやすい食材です。最も高いのはミルクプロテインです。
※ミルクプロテイン:ホエイとカゼインの両方を含み、バランスの取れたタンパク質源
効率的なたんぱく質食品の選び方
動物性たんぱく質:「高たんぱく低脂質」が鉄則
高たんぱく低脂質であるほど消化吸収が早く、筋肉合成効率が向上します。牛肉や豚肉は消化吸収が遅く、筋肉合成の効率は低下しがちです。たんぱく質の王道はやはり「鶏肉」です!ささみは最強ですし、むね肉はアスリートも愛用しています。
鶏むね肉に豊富に含まれるイミダゾールジペプチドが疲労回復に効果的だからです。また、老化予防に優れた効果を発揮します。
- イミダゾールジペプチドを4週間毎日摂取後、4時間の自転車こぎ運動実験では、摂取していない人は摂取した人の約1.5倍、実験終了4時間後は約2倍もの疲労感の差が報告
- 1日200mgを目安に毎日摂取すると疲労回復効果が期待
- 生の鶏むね肉100gには約1200mgのイミダゾールジペプチドが含有
卵は完璧な栄養バランスを持つ「完全食品」
卵はかつてコレステロールを理由に摂取制限が推奨されていましたが、卵黄に含まれる「レシチン」が血中コレステロールを抑制する効果があることが判明し、現在では1日1〜2個程度であれば健康上の問題はないとされています。(日本動脈硬化学会ガイドライン2022)
卵1個(約50g)の栄養価:
- 1個あたり6.4gのたんぱく質
- アミノ酸スコア:100(満点)
- 筋肉合成スイッチとなるロイシンが豊富
- ビタミンC以外のほぼ全てのビタミンを含有
- カルシウム、マグネシウム、亜鉛などのミネラルも豊富
- しかも吸収率が爆高(DIAAS 1.13)
動物性たんぱく質・食材の選び方
動物性のたんぱく質を選ぶ際にポイントとなるのは「高タンパク&低脂質」です。下の表は、高たんぱく低脂質食材ランキング(たんぱく質20gあたり)です。同じたんぱく質量でも食材の量やカロリーが変わってきます。比較すると、鶏肉がどれだけ優秀な食材なのかがわかりますね。
動物性のたんぱく質食材は、脂質が高めになってしまうことが多く、カロリーがぐんと上がってしまいます。食べてはいけない訳ではなく、組み合わせや頻度を工夫して、賢く摂取しましょうね。自分が食べるものにどのような栄養素やカロリーがあるのかを知ることは、とても大事ですよ!
| 順位 | 食 材 | 食材量(g) | 脂質量(g) | カロリー(kcal) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 鶏ささみ | 86 | 0.7 | 89 |
| 2 | 鱈 | 111 | 0.2 | 85 |
| 3 | ツナ缶(ノンオイル) | 88 | 0.6 | 85 |
| 4 | 鶏むね肉(皮なし) | 91 | 1.7 | 95 |
| 5 | マグロ赤身 | 80 | 1.1 | 101 |
| 6 | 豚ヒレ肉 | 87 | 1.9 | 102 |
| 7 | しらす干し | 50 | 1.5 | 103 |
| 8 | エビ | 198 | 0.6 | 164 |
| 9 | イカ | 227 | 1.4 | 200 |
| 10 | タコ | 250 | 1.5 | 195 |
植物性たんぱく質:動物性とペアで必須アミノ酸を補完
植物性たんぱく質は低脂質&低カロリーなのでお腹いっぱい食べられる利点がありますが、植物性だけだと必須アミノ酸が不足する可能性があります。植物性のたんぱく質だけで1食分を賄おうとするのはいけません。
ただし、ビーガンやアレルギーの方でどうしても動物性のたんぱく質が摂取できない方もいますよね。私もビーガン寄りなので、毎日とか毎食に鶏肉は摂れません。そんな場合は、プロテインドリンクやサプリメントなどで補うと良いですよ。
- 動物性と植物性を1対1で摂るのが理想的
- 動物性の摂取比率が30%以下になると必須アミノ酸のバランスが崩れやすい
- そばやパスタ、玄米などの穀類にも植物性たんぱく質が含まれているが、糖質も多いので頻度は控えめに
- 植物性たんぱく質は脂肪燃焼効果が動物性より高いが、体内への吸収率やたんぱく質量は少なめ
大豆製品:「畑の肉」の実力
積極的に摂りたいのは「畑の肉」と言われる大豆製品です。多めに摂ってもカロリーオーバーになる心配はほとんどなく、ダイエット向きの食品でもあります。ただし、調理方法によっては、突然カロリーが化けますので要注意ですよ!麻婆豆腐とか揚げ出し豆腐とか…低カロリー食品でも油と糖分が加算されるとカロリーアップすることをお忘れなく…(笑)おいしいですけどね。
選び方のコツ
- 豆腐は絹ごしよりたんぱく質量が多い木綿が良き
- 納豆は発酵により消化吸収率が向上するのでオススメ
- 豆乳は無調整タイプを選択
実践的な組み合わせ例
時間帯別おすすめ組み合わせ
朝食:目玉焼き + 納豆(+ 玄米)
ポイント: 睡眠中に失われたアミノ酸の迅速な補給
睡眠中は約8時間にわたってたんぱく質の補給が行われないため、朝食でのたんぱく質摂取は特に重要です。卵と大豆製品の組み合わせで脂肪燃焼スイッチをオンに!
昼食:そばやパスタ + サラダチキン
ポイント: 炭水化物中心になりがちなランチに良質なたんぱく質をプラス
麺類や丼もので炭水化物が中心になりがちなランチには鶏肉のおかずをプラスしましょう。午後のエネルギー維持と筋肉分解の抑制を図ります。
夕食:焼き魚やお刺身 + 豆腐
ポイント: 消化に負担をかけない軽めの組み合わせ
夜は糖質を控えめにして、その代わり肉類や魚類 + 大豆製品でたんぱく質をしっかり摂る。重すぎない魚類と豆腐なら脂質も低めで理想的です。夜間の成長ホルモン分泌時の筋肉修復をサポートします。
まとめ
今回は、たんぱく質の基本的な解説をしていきました。
効率的なたんぱく質摂取のための重要ポイント
- 最新のDIAAS基準を参考に食材を選ぶ
- 動物性と植物性を1:1の比率で摂取する
- 高たんぱく低脂質の食材を優先的に選ぶ
- 時間帯や目的に応じて組み合わせを工夫する
- 動物性たんぱく質の比率は30%以上を維持する
次回の記事では、「たんぱく質の最強の摂り方 その2」として、摂取タイミングや量の詳細、プロテインサプリメントの活用法について詳しく解説予定です。
出典・参考文献
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
- FAO “Dietary protein quality evaluation in human nutrition: Report of an FAQ Expert Consultation” (2013)
- お魚たんぱく健康研究会「DIAAS(消化性必須アミノ酸スコア)」
- 日本予防医薬「イミダゾールジペプチド(イミダペプチド)の安全・有効性」
- 鈴廣魚肉たんぱく研究所「本当に『質の高いタンパク質』を摂るために」
- 農畜産業振興機構「鶏肉に含まれるイミダゾールジペプチドとその機能性について」
- 大阪市立大学「イミダゾールジペプチドの抗疲労効果に関する研究」(2010)

